貴方の隣にいれるだけで良い、と
それだけでいい、と
云えたらいいのに。
伝えたいのに。
そんな勇気、私には無くて
でもただ黙って貴方の横に居られるなんて
都合の良いこと、有りはしない。
「ねぇ、ジズ」
「?」
「僕はね、君の側に居られるだけで、いいと思うんだ」
思わず失笑。そして
「っふ、ふふ・・・・」
「っジズ?」
少し戸惑うような彼を見て苦笑を零す。
「ずるい、ですよ」
「何が?」
「先に云われちゃったじゃないですか。
私が、云いたかったのに」
「へ?」
ぽすん、と
彼の肩に頭を預けた。
「先に云うなんて、ずるいです」
「ずるいって云われてもねぇ」
肩を引き寄せられて
「僕もそう思ってたんだから
仕方ないんだけど」
それでも、ずるいのだ、と思う。
貴方には、其れを云うだけの力があった。
でも、私には無かった。
この差が、酷く虚しいのだ。
ずるいと、思ったのだ。
「・・・・・別に、許して差し上げてもいいですけど。」
「何其れ、素直じゃないなぁ」
知りません、そんなの。
素直であろうが無かろうが
私はまだ、貴方の隣に居られる。
それだけで、嬉しくて堪らないのです。
fin.