時間






寂しくないの?


「いえ、別に。」





「何故、そう思うのですか?」


だって、辛そう


「・・・・・・。」


分かるよ だって









私達は貴方が作ったお人形だもの













彼が出かけてから、もう二週間がたった。
連絡は、ない。
幽霊の身としては、二週間などとても短い時間のはずである。
なのに、今の私にとって、其れが酷く長い時間に思われた。
何故か。
考えて行き着く答えは。


一人ダカラ


いつも、彼と過ごす時間は、とても短く感じられた。
温かく感じられた。
けれど今は。




「ウォーカー・・・・」




誰も居ない部屋に虚しく響く。
名前を呼んでも、彼が帰ってくるわけではないのに。
口から出るのはそればかり。

もう、忘れられてしまったのだろうか、何て。
彼はそんな人じゃないのに。
妄想を断ち切るかのように、頭を横に振る。



ジズさま


造りものの、人形の声。


「何ですか?めばえ。」


お茶のお時間ですが


「今日は、結構です。」


わかりました




ぱたん。

扉が閉まる。


いっそのこと、人形に慣れたらいいのに。
と思う。
感情など、有っても辛いだけだ。
そもそも、彼に会う前は、虚無であったはずの心。
時が経てば、また無に還れるのだろうか。
悲しみの無い、器だけの存在に戻れるのだろうか。

でも、そうなれば、彼の温かみもまた、感じられなくなってしまうだろう。
我が儘かもしれないけれど、其れは厭。
彼を感じなくなれば、存在意義もなくなるだろう。







彼が居ないだけで、こんなに辛くなるなんて。



























































「ただいま、ジズ。」






其れは、器に注がれる魂のように。




fin.